中村社長のコラム 「保護者」から「親」へ … 子育ての評価とは?  PART12 ~意志の獲得は外社会で戦う心のエネルギー その2

我が家の社会人第一号の次男が…

社会に出る段階(就職活動)を振り返った前号ですが、今回は『本来なら』我が家の社会人第一号になるはずだった長男の現在までの行動を振り返って心の変化を考えてみたいと思います。

結論から言うと、同じ環境で育ったはずなのに、企業に就職した次男と違い、全く就職活動をせず、大学在学中のアルバイトをそのまま続けています。と言っても、今では週5日8時間の勤務・・・正確に言えば「非正規労働者」ですね。

 

目次

長男のこれまでの経緯

長男は中学2年の秋から約一年間不登校。その時は、昼夜逆転のまさに引きこもりの生活でした。中学3年の秋から登校するようにはなりましたが、直後に迎えた高校受験では市内一の公立高校への進学を希望するも、全く勉強をせずに受験。当然のことながら合格するはずもなく、何とか合格をもらっていた市内の某私立高校へ進学。

その高校での部活(合唱部)の影響で音楽に本格的に取り組むようになり、高校2年の時に東京都立川市にある某音楽大学の声楽科への進学を希望。高校受験の時と全く違いオープンキャンパスへ参加したり、声楽のレッスンに毎月東京へ通う等、積極的に進学に向けて努力し(かなりの投資額でしたが!?)希望どおり「合格」。東京での一人暮らしが始まった訳ですが、大学在学中は、某国営放送局で全国放映される演奏会に合唱団の「その他大勢」ではあるものの、毎年出演するなど演奏活動に積極的に参加していたようで、帰省も殆どせずキャンパスライフを楽しんでいたようです。

 

全く就職活動をしない長男

そして、順調に単位を取得し就職活動…となるはずですが、単位は取得したものの、専攻課程を受講すると言って就職活動をぜず一旦卒業。その後2年間の専攻課程を修了し、その専門性を生かして就職…かと思えば、全く就職活動をする振りもなく、アルバイトを続けながら、音楽活動をすると言ってそのまま東京で暮らしています。

現在は、大手ファミリーレストランチェーンのとある店舗で深夜勤務の仕事をしながら、昼間は所属する合唱団の一員として年に数回僅かな出演料でステージに立っているようです。早い話が「売れない芸人」の生活ですね(笑)。

積極的に就職活動を行い、入社(採用)試験に挑んでいった次男・三男と全く違い、「就職」について全くその素振りもなかった長男。私も在学中から卒業後の生き方(就職)を常に問いかけていましたが、生返事ばかりで、まともに答えようとせず、最終的に東京に残ると聞いたのは専攻課程修了の3月。確かに進学した音大は演奏家を目指す学生が全国から集って来るので、長男のようなケースは多いと聞きますが、親としてはやはり、社会的に自立してほしいと願うものです。

 

非正規労働者は社会的引きこもり?

不登校だけでなく成人の引きこもりが社会問題化している昨今、長男のように正規雇用の職に就こうとしない若者を「社会的引きこもり」に分類する見方もあるようです。

その視点で見れば、長男は今のバイト先からの正規雇用転換の誘いを断っているようですし、演奏活動をしているとは言え、メジャーデビューする等という夢を追いかけているわけでもないので、社会的引きこもりと言われても仕方がないですね。

また、最近では成人期の引きこもりと発達障害とを結び付けた報道やテレビ番組をよく見かけますが、その観点から言うと、長男には現代の概念で言うASD(自閉症スペクトラム障害)の疑いがあるようです。

…と言うのも、長男は幼少期から音に敏感で記憶力に優れ、様々な音を音階で聞き分ける特殊な能力がある反面、何かにつけこだわりが強く、友達と遊んでいても急に一人になって違うことを始めたりと集団に馴染めない側面があります。他にも特有の行動スタイルがあり、発達障害が一般的でなかった当時は「変わった子」で済まされていましたが、専門機関を受診していれば恐らく診断が下ったのではないかと思っています。

まぁ、取り立てて問題が起こっている訳ではないのでグレーゾーンということでしょうが、このまま行くといつかまた引きこもり、社会問題化している「8050問題」に発展するのでは…中学生の時の不登校を容認し、専門機関を受診しなかった『つけ』がここに来て表れてきたのでは…等と言われそうですね(笑)。

 

自分の人生を自分の足で歩く

こんな長男ですが、非正規労働者ではあるものの、そこそこの収入を得ていて、生活費を親に頼ることもなく一応自立した生活をしています。(家にも滅多に帰ってきません!)

考えてみれば、現在の生活は基本的に長男の意思であり、長男なりに考えた末のことのようで、就職も「できなかった」のではなく、自分の行動スタイルに合う道を選んだのではないでしょうか?

また、発達障害の素因があるとは言え、仕事では接客の担当らしく、ファミレスなのに常連客も掴んでいるようで、それなりの使命感をもって働いているようです。まぁ、仕事の現場を見ていませんから本当はどうなのかは分かりませんが、正規雇用への誘いがあるということは問題の社員ではなさそうです(笑)。

以上、現在の長男について、明確な将来への展望もなく社会的には正常とは言えないかも知れませんが、今の生活は、親や周囲から言われたり、世の中の流れに合わせたものではなく、長男自身が選択した生き方なのです。そのためか日々を能動的に楽しんでいる様子が感じ取れるのです。言い換えれば、自分の人生を自分の足で歩いている喜びを感じているようにも思えるのです。

 

自分らしく生きるとは・・・

幼少期から発達障害的素因がありながらも「良い子」で育った長男。中学生という大切な時期に不登校(引きこもり)と言う『つまづき』ともとれる行動をしましたが、現在の生き方から振り返ると、親をはじめとする周囲から「自分らしさ」を取り戻そうとする行動だったのではないかと思えてきます。これはまた、私自身が当時昼夜逆転の生活をする長男を見ていて、私(親)からの保護という名の干渉から逃れ、自分の足で歩こうとする行動に思えたことの検証でもあります。

そのような視点に立つと、世の中の流れに沿って就職した次男・三男よりも「自分らしく」生きる道を歩んでいるように思えてきます。良いかどうかは分かりませんが、「親」としては「好きなように生きろ!」としか言いようがありませんね。

そうは言いながらも「これからどうするのかよく考えろよ!」と帰って来る度に繰り返し言っている口うるさい父親です!

当然、長男は知らん顔ですが…(笑)

 

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