野外・水中活動体験教室 ~ 元気ッズクラブ6月カリキュラムイベント報告

スポーツハッカソン&コロコロガーデン

 

目次

今回のイベントのねらいは自分らしさの発揮

  

子ども達は(大人もですが)、活動内容を押しつけられるのではなく自分達でルールなどを独自に作り上げることで、より楽しいと感じます。と同時に、ルールの背景にある事情や意味を感じ取る能力が培われます。実生活ではルールを守ることを強いられる場面が多いのですが、事情の変化でルールを変えたほうが良い場合もあります。群れ遊びを豊かに遊んだ人は、ルールを守るだけではなく、ルールを作り変える力を発揮しやすくなります。スポーツクラブナップではそれを「群れ遊び」と名付け、とくに元気ッズクラブでの重要テーマにしています。プール活動やイベントでもそのような「群れ遊び」が実現できれば子ども達ひとりひとりが主人公になれるのですが、なかなかうまくいかないジレンマも抱えています。

そんな中、今回山口情報芸術センター(YCAM)にて開催された「スポーツハッカソン」という催しは、まさに子ども達が様々なアイディアを出し合いながら新しい遊びを考え出すという面白いイベントということで参加を表明しました。参加対象が小学校3年生以上だったため、1・2年生は「コロコロガーデン」というパビリオンが設置されていたのでその中で思う存分体を動かしながら楽しみました。

 

スポーツハッカソン、各班の活動状況

 

3年生から5年生までのメンバー7人は、他の参加者とともに新しいスポーツ作りをするために、4つのチームに分かれました。各チーム7人前後の子供と、ファシリテーターの大人2人で相談したり実践したりしながら新スポーツを開発します。今回のお題は「新しい運動会競技の開発」です。そして、最先端のテクノロジーを使った道具と従来の運動会競技を組み合わせて、世界で初めての運動会競技開発に子ども達は取り組みました!

 

①赤チーム 大玉ピラミッド作成

  

赤チームに入ったとわ君とたくと君は、「大玉転がし」の競技を「Yピラミッド」という道具も使いながら行うという課題でした。「Yピラミッド」とは、大きな電子画面があってその前でポーズを取るとそのポーズの人型ブロックが画面に現れ、上から下に落ちてきます。それを繰り返すとブロックがピラミッドのように積み重なっていきます。テレビゲームのテトリスのようなイメージです。それと大玉転がしを組み合わせるには、柔軟な発想が欠かせません。ところが子ども達は、大玉を転がす→人型ブロックを作るをくりかえし、早くピラミッドが高くなった方が勝ち、という種目を見事作り上げました。とわ君とたくと君も話し合うだけでなく、大玉を転がしたりYピラミッドの前でポーズを決めたりしながら、生き生きした動きをしていました!

 

②青チーム トリシャリレー

  

青チームに入ったのは、最年長のたかあき君と紅一点のあゆなちゃんです。そして、青チームのお題は「リレー」と「Yトリシャ」という道具です。「Yトリシャ」は、1メートル程度の棒が2本あり、先端にセンサーが付いていて、その2本の「Yトリシャ」まっすぐにくっつけると得点が入るという道具です。「Yトリシャ」を2人組でくっつけてリレーをするという発想には比較的早くたどりつきましたが、「Yトリシャ」をくっつけたまま走ると難しいのでいろいろ走りやすい方法をさぐっていました。あゆなちゃんも「離れるのが難しいんよね~」と言っていましたが、見知らぬ子と笑顔で協力しながら、細かいルールや勝利の条件などを話し合って新しいトリシャリレーが完成しました。高学年のスポーツとなると、どうしても女子よりも男子の方が体力的に勝ってきますが、今回のような活動は女の子でも対等に戦えるようなルールを話し合うこともでき、女の子がヒロインになることも十分可能なのが素晴らしいですね!

 

③黄チーム ふってふってなかまんボール

  

黄チームは元気ッズからはゆうき君ひとりでした。実はゆうき君は前日に足の指をけがし、スポーツができるかどうか不安そうでした。黄チームの課題は「玉入れ」と「なかまんボール」という道具を使う、でした。「なかまんボール」はボールの中に加速度に反応するセンサーが入っていて、ボールを動かすと点数が入ります。そこで黄チームは玉入れ、という概念を外し、バスケットボールのような感じでその「なかまんボール」を30秒以内にたくさん振ってゴールに入れたチームが勝ち、というルールにしました。しかも全員がボールを触る必要があります。そのため、特定の人ばかりがボールに触ってはだめで、誰もが主人公になれる見事なルールでした。けがをかかえていたゆうき君もこの競技なら問題なく参加し、ルールの完成を楽しんでいました。

 

④白チーム ニンジャイロ

  

白チームに入ったのは、2人とも今年から元気ッズクラブに加わったりお君とゆきひろ君です。白チームの課題は「二人三脚」と「Yジャイロ」です。このYジャイロは、傾けるとセンサーが軸の変化に反応して点数が入る、という道具です。iPhoneなどのスマホで本体を傾けると画面もそれに応じて傾くのと同じ原理です。それを使っての二人三脚、お題としては一番難しかったかもしれません。しかも白チームは最初はややまとまりがなく、りお君とゆきひろ君ともに最年少の3年生だったのですが、二人三脚の動きを繰り返しているうちにだんだん子ども達の口から「こうしたらいいんじゃない」などの意見が飛び出すようになり、足を二人三脚のようにくくってしかも腕を「Yジャイロ」くくり、なるべく手をふらないようにゆっくり歩くという、見事な発想の転換をしていました。

 

スポーツハッカソンの結果発表

さて、4チームがそれぞれアイディアを絞り、実践しながら作り上げた競技、元気ッズの子ども達もただ聴くだけでなく意見を積極的に言ったり、トライアンドエラーをしたりしながら競技を作り上げました。どのスポーツも新しく、子ども達の豊かな発想が感じられる物でしたが、審査員の厳正な審査の結果、黄チームの「ふってふってなかまんボール」が優勝となり、その競技を最後は子ども達みんなで楽しみました。司会の人が「本当は全てのスポーツをやりたいんですけどね」と言っていたのは本音だと思いました。

 

コロコロガーデン

  

コロコロガーデンは子ども達のバランス感覚や想像力を刺激する工夫が凝らされているパビリオンでした。かなりの盛況で、順番が回ってくるまで10分以上待つことになりましたが、それだけの価値がありました。段ボールですべる巨大すべり台や、斜めになった床を走り抜けるポイントなど、子ども達の喜ぶような演出が考え出されていて、室内ですが自然の中で遊んでいるかのような体験ができる空間でした。

このような空間で遊びながら、バランス感覚も鍛え、アウトドアで活動する能力の基盤作りもできるように感じました。元気ッズクラブでは少々転んでも水が受け止めてくれるプールの特性を生かしてそのような活動を行っていますが、陸上でも工夫次第でいくらでも子ども達の能力を引き上げる活動が可能なのだということをあらためて感じさせられました。

 

子ども達の可能性を引き出すポイント

 

子ども達は大人が思いつかないような豊かなアイディアをもっています。日頃子ども達と接していてもそう感じることは多いのですが、それをまだ大人ほど上手に表現できなかったり、アイディアを煮詰める時間がなかったりするため、せっかくの豊かなアイディアが生かせないままになっていることも多いです。

今回のスポーツハッカソンに参加して、子ども達は自分も含めてみんなでアイディアを出し合い、メンバー全員が楽しめる競技作りを経験しました。しかも最新のテクノロジーを活用したので、ある意味今の大人達よりも大きくリードしているとも言えます。日々の元気ッズの活動にこの経験が生かせるよう、子ども達に負けないように大人達も発想の柔軟さを日頃から鍛えないといけないですね。

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