男の子と接していると、女の子と比べてぼんやりして話を聞いていない、集中していない、そんなことがよく見受けられます。だからついつい男の子の方に厳しく接してしまう、そんなことが自分の経験上、少なくありません。男の子の方が女の子に比べて脳の成熟が遅いから、などと自分の中で理由付けをし、仕方がないのかなと思っていましたが、実は、『ぼんやりすること自体に意味があった』そんな仮説があることを最近知りました。
脳が成長するタイミングとして、寝ている間が一番活発だというのは、よく知られています。夢を見ることが脳の成長に関与しているとも言われています。それが、起きている間でも脳が必要性を感じたら、成長することがあるらしいというのです。そして、その脳が成長するタイミングというのは、外界からの情報を遮断している状態です。つまりそれが、
周囲からは ぼんやりしているように見えているのだという説です。もしそれが本当なら、男の子がぼんやりしているのを注意することは、貴重な脳の成長のチャンスを奪うことになるのかもしれません。
なぜ男の子にそのような現象が起こりやすいのか、それには人類の進化の歴史に関係があるそうです。「話を聞かない男、地図が読めない女という本によると、男性の脳は、原始時代より狩りや採集などに特化するため、空間の把握や物の構造を認知する神経回路が発達しています。対して、女性の脳は、子育てや近所の仲間などとの人間関係を形成するのに必要なコミュニケーション能力が発達します。男性が、より効率よく食料を確保するためには、獲物との距離感や、三次元的な位置の把握などが必要で、それを培うには、例えば暖炉の火の前でじっとしながら、狩りの状況をシミュレーションするなど、一人で思いにふける時間が必要でした。あるいは、罠をしかけてじっと待つ、獲物が近づくまで気配を消す、そのような時間も外部との情報を遮断していたのではと考えられます。今の時代に釣りが好きな男性が多いのも、そのあたりに理由があるのかもしれません。
忙しい現代社会では、なかなかそのように外界から切り離される時間はとれません。それでも脳の成長に必要なタイミングと感じたら、男の子は外界との接触をいったん遮断し、脳の成長に必要なエネルギーを費やすのだそうです。それが、男の子がよくぼんやりすることの本当の意味、というわけです。そう考えると、もしかしたらそういう時間をもっと尊重してあげることが、男の子がなんらかの才能を開花させることにつながるきっかけになるのかもしれませんね。
元気ッズ・ジュニア学童担当 岸 健一
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