2021年2月 26秒4
4月 25秒2
8月 23秒0
10月 22秒6
12月 22秒5
25mクロール、彼の記録の「伸び」です。一年前より、中級以上で25m完泳できる子どもたちによる年齢別種目別25mの測定会において新記録で表彰された三年生の男の子のお話です。
測定会の目的
『憧れ』の対象をつくり、そうなれるように練習を頑張ってほしいと願い、最初は上級からスタートしました。お兄ちゃん、お姉ちゃんの泳ぎを見て「あのように泳ぎたい」と思ってもらえればという思いです。上級の子ども達には、新たな目標を作ってもらうためです。進級テストは合格タイムを目標にしていますが、測定会ではタイムだけではなく、順位もついてきます。
「一番になりたい」という思いを持って、『一番』を目標に頑張って泳いでもらいたいと思っています。良いタイムで泳いだ子ども達は、結果を張り出す前から、「おれ何番くらい?」「一位のタイムは?」と聞いてくる子どももいます。
今回の主人公である男の子(三年生)が入会したのは小学一年生の時。中級で担当した中谷コーチに当時の様子を聞いてみました。
彼のこの一年・・・
去年の一月、彼はまだ4級でした。平泳ぎを一生懸命練習する級です。四月もそうでした。
五月。3級のバタフライになり六月のテストが終わった直後でまだ片手回しのタイミングもおぼつかない時期。コーチの移動に伴い私が担当に。
七月。8歳と年齢も低いながら上級生の中に混じって頑張って練習していました。タイミングが合わないと立ち止まってニコ~、「あれ、どうしょう」という感じです。
八月のテスト。週2回練習ということもあり、どうにかタイミングも合いはじめ、腕も伸びるようになり進歩していきました。
十月のテスト。私のところが2回目※。予定では1回目のテストで、3級合格、私が担当するクラスで、2級合格。これは私が思う週2回練習の子ども達の理想の進級の仕方です。
※週2回練習の子ども達は2回テストが受けられます。ただ、初級、中級クラスでは出来ることの積み重ねで進級していくので、クロール練習している子どもが、いきなり平泳ぎのキックを合格することはまずありません。上級クラスになると、定められたタイムが基準となり進級していきます。
スーパー三年生誕生
彼は最初のテストで見事に3級合格。2回目のテストは、お父さんの了解のもと、4泳法を続けて泳ぐ 100m個人メドレーに挑戦することになりました。当日は私が担当する中級クラスではなく、上級クラスでテストを受けました。まあ、よほどのことがない限り合格できると思っていましたが、教室終了後すぐに上級担当コーチに結果を聞きました。もちろんタイムも含めて。予想通り余裕をもって合格してくれました。スーパー三年生の誕生です。
なかなかの持久力
上級クラスでは、彼の1回目の練習日が私の担当です。クラス最年少で上級生について泳がなければいけません。最初は、当然足ヒレを付けて、しっかり距離を泳いでもらうことから始めました。今までの練習と泳ぐ距離も、1本当たりの時間も違うので、かなりキツイだろうと思いましたが、遅れはしてもしっかりと距離だけはついてきていました。
4週間後、あまりにも平然とした顔をしているので、
「キツクない?」
「全然」
「ハイ、おめでとう!来週からヒレ無し!(足ヒレ無しだと練習がきつくなるけど・・・)」
「イイよ」
3級の頃から頑張り屋さんとは思っていましたが、恐るべき持久力!
この表情がたまらない
十二月、テストの1回目は私のところで。持久力は強いから、1級合格(200m個人メドレー)は大丈夫!でも、瞬発力は少し弱いところがあるので次の級(50m得意種目)までの飛び級はどうかな?が、私ともう一人の担当コーチの考えでした。予想通り私のところで進級。泳ぎ終わってすぐに「おめでとう、合格!」と言うとプールの中でニコ~。この表情を見ること、本当にコーチ冥利に尽きます。このために仕事していると思います。テスト2回目で次の1C級も合格。これには少しびっくり。
翌週、25mを測定。まだスタート練習をしていなかったので
「スタートで失敗すればタイムを落とすぞー」と予想した通り、ものの見事に出遅れ、当然のようにお腹から『ペチャーン』結果は・・・わずかですがベスト更新!
表彰式を終えて
8歳以下クラス、見事に1位で表彰です。社長から表彰状を受け取る時に笑顔はありませんでしたが、その後、クラスのお兄ちゃん達と表彰状を見ている姿はほころんだ顔で、なんとも言えないイイ表情でした。
表彰式後、スピード練習もしっかり頑張れるようになっています。
『僕にもできる』という心が芽生えたのではないでしょうか。この時期に『できる』という心を獲得することは今後の彼の成長に、きっと大いに役立つことでしょう。
今日も今まで上級でやったことのない水感トレーニング(手のひらを水に当てる感じを獲得するトレーニング)をしましたが、上級生に交じって上手にしていました。私のクラス以外での練習日もすれ違うと、私の顔を見るようになってきました。
「ガンバレ!」とおしりをポンと叩いて、応援しています。
こうして彼も異年齢、他地区から集まってくる集団の中で友達を作りながら成長してきています。ちょうど、周りから評価されることを意識し始める年齢に差し掛かる時期です。出来る事をどんどん増やし、自信をもってステップアップしてくれることでしょう。
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