新型 コロナウイルス感染が…広がるなか、東京オリンピックが半ば強硬ともいう開催されました。賛否両論ありましたが、終わってみればどの種目にも多くの「感動」がありましたね。
卓球女子団体で銀メダルに輝いた我らが石川佳純選手も、その戦いぶりもさることながら、決勝で敗れた後、某国営放送のインタビューに毅然と笑顔で応えた後、一瞬後ろを向いて涙をぬぐい、表情を整えて次のカメラの前に立つ姿が映っていました。その映像から、想像を絶する苦悩を乗り越えてあの場に立ち、力の限り戦った石川選手の心を感じざるを得ず、さすがの私も目頭が熱くなってしまいました。
コロナ禍の終息が見えない情勢において「強い心」をもって経営と戦う「勇気」を貰いました。本当に頑張らんとイケンですね!!
すべては「自立」がテーマ
さて、不登校児だった次男が社会人となったことを節目に書き始めたコラム『保護者から親へ…子育ての評価とは?』。昨年からその総括として子育ての目標とも言うべき「自立」をテーマに書き綴っています。
これまでもお伝えしてきた通り、我が子の不登校(引きこもり)に対して基本的には「引き出す」事はせず、肯定的に見守るスタンス…子どもが自分から外社会へ出て行こうとするまで「待つ」という立場を続けました。しかし、それが良かったどうかは、成長し「成人」となった我が子が本当の意味で「自立」し社会生活を営んでいるかどうかが重要であり、その「検証」が必要でしょう。
その意味で、前号では、我が家の不登校第一号、10歳で不登校となった次男の現在をお伝えしました。今号では14歳(中学2年)で不登校となった長男の現在についてお伝えします。
「売れない芸人」の生活を送る長男
長男は現在30歳。東京・立川市で一人暮らしをしています。簡単に経緯を申し上げると、不登校は中学2年の秋から約1年間続き、不登校中は昼夜逆転のまさに「引きこもり生活」。不登校解消直後の高校進学では全く勉強せずに受験。何とか某私立高校には合格したものの1学期は休みがちで、このままだと2年に進級できないと担任に言われる始末。
しかし、2学期からは部活(合唱部)に打ち込むようになり休まず登校。その後は自分の意志で大学から東京へ。進学先が音楽大学ということもあり、現在もそのまま東京に残り飲食店で働きながら音楽活動をしています。本人としては音楽活動がメインのようですが、その収入は僅かで、飲食店での収入が生活源のようです。早い話が「売れない芸人」の生活ですね(笑)。飲食店では一応月給制らしいのですが、世間一般で言う「非正規労働者」として生活しています…勿論、独身です!
このような状態では「笑っている場合じゃあないでしょ!」と、世間一般の価値観で言えば、30歳にもなって非正規雇用の生活。やはり「見守る」と言いながら不登校を容認し、親として何もしてこなかったツケがきているのでは…と言うご指摘を頂きそうですし、親としては、何としても正規雇用の職に就けるよう、立ち振る舞わなければならないのかも知れません。
ですが、不登校時同様、意見はすれども行動の最終判断は長男に委ねています。なぜなら、長男の言動・行動から「自立」を感じるからです。
楽しく生きるための「自立」とは?
私の考える「自立」とは「楽しく生きる」という前提で
①自己責任を基本とする行動
②良好な人間関係を築く能力
この2点が基本的な行動スタイルとして身についていることです。それぞれの視点で長男の行動を考えてみたいと思います。
➀の視点で、以前帰省した際に話していたことですが、数年前に大学時代の親しい友人に15万円ものお金を貸し、返済されないまま連絡が取れなくなった…つまり友達に貸金を踏み倒された事があったようです。しかも15万円と言えば長男にとって大金。余程信頼していた友人だったのでしょう。なので一般的に考えれば「信じてたのに裏切られた!」「許せない!」等と言いそうですが、長男は「あんなに貸すんじゃぁなかった!」「貸した俺がバカだった!」等と相手を非難するのではなく、しきりに自分の行動を悔やんでいたのです。他にも類似する失敗がいくつもあるのですが、一連して言えることは、自分の置かれている状況や失敗に対して、他者に不平・不満を言ったり、周囲を責める姿勢が感じられず、常に「自己責任」のスタンスで行動しているように思えるのです。
次に②の視点では 、元々長男はASD(自閉スペクトラム症)の素因があり、他者とのコミュニケーション能力に欠ける部分があります。
確かに幼少期から友達は少く、一緒に遊んでいても、急に別行動を始めることも多く、人間関係が上手くとれない状態でしたが、小・中・高と親が出ていくような人間関係の悩み・トラブルは皆無で、高校時代の部活仲間とは今も付き合いを続けているようです。
また、現在働いている飲食店は、常連客を中心とする集客戦略の小さな焼肉店で、客との良好な人間関係が築けなければ務まらない職場です。客層も時折有名人が来るそこそこの高級店らしく、接客が重要な要素なのですが、常連客とも良好な関係を築いているようで、売上的にもコロナ禍の影響を殆ど受けていないとのことでした。
自分に合う道を自分の「意志」で
以上、これらのことから長男に「自立」の行動スタイルを感じるのですが、それに加えギリギリの生活を送っているはずなのに金銭的な面も含め、これと言って親を頼ることもなく、生活への悲壮感など全く感じないのです。それどころか、大手系企業の正社員である次男、国家公務員の三男に比べ、収入は圧倒的に低いものの、3人の中で一番自由で楽しそうなのです。ASDの素因があるからこそ、そんな自分を認識し自分にあった道を選んでいるのかも知れません。それらすべて長男自身の「意志」による行動です。不登校により「意志」の獲得をやり直した結果として、常に自分の「意志」で行動しているからではないかと私は考えています。
まぁ、一緒に生活をしているわけではありませんし、多少の親バカも入っていますから(笑)本当のところは分かりませんが、話を聞いている限りそう感じるのです。そんな長男を一人の人間として見ていると、その自由なスタンスを時々羨ましく思い「人生って何だろう」等と考えされられることも・・・。
こうなると「何があろうと自分でどうにかするだろう…」と親としても楽観的でいられるのです。
但し、親の想い通りにはなりませんけどね(涙)
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