競泳とは、ほとんどの方がご存知のように「泳ぎの速さを競う」スポーツです。オリンピックを頂点に国際大会では「世界選手権」「アジア大会」、国内大会では「日本選手権」「インターハイ(全国高校)「全国中学」「JO(ジュニアオリンピック)」が行われています。これらの大会に出場するには、何位以内かつ標準記録突破が出場の絶対条件です。たとえ、0.01秒足りないだけで出場することはできません。
私自身も「インターハイ」や「インカレ(日本学生選手権)」出場しましたが、この標準突破のために必死に頑張って泳いだ経験があります。0.1秒で標準タイムを突破できなかった悔しい経験もあり、あまり人には言えませんが、レース後1人で泣きながら泳いだこともあります。1年間このためだけにやって来たと言って
も過言ではないぐらいですから、泣くぐらい悔しいのは当たり前ですね。しかし、それまでの練習で後悔のないぐらいやってきた年は、もちろん悔しいのはありますが、レース後とても清々しい気持ちの時もあり、次へのステップを大きく踏み出すことができたという思いでいっぱいでした。
私が28才の時に10年ぶりに国体に挑戦しました。結果を言うとなんとか標準記録を突破し、出場することができましたが、その標準記録に挑戦できる県内での大会は2つしかなく、まさに崖っぷちの状態でした。しかし、この2大会では突破はできませんでしたが、あきらめることができずに鳥取県の大会に無理やり出場させてもらい、そこでなんとか突破することができました。その時の嬉しさは現役時代とは全く違った嬉しさでしたし、あきらめなければ達成することができると再度実感することができた経験でした。
タイムが上がって速く泳げるようになったことが競泳の1番の「楽しさ」ですが、全国大会などより上位の大会に予選を勝ち抜き出場できたときの嬉しさや出場のための標準記録が切れなかった時の悔しい経験もある意味「楽しさ」の1つです。それらの経験を積んでいくことで競泳の本当の「楽しさ」を味わうことができると私は思っています。
それ以外にも、レベルが高い合宿に参加することができます。そこでは、県内に限らず全国の選手と1週間以上も練習・寝食を共にするので、多くの仲間を作ることができます。また、全国規模の大会は、全国各地で開催され、出場することによって色々な土地へ行くこともできます。そこでの仲間との再会も楽しみです。私自身もインターハイで鳥取・山梨、国体で兵庫、インカレで東京・横浜などに行くことが出来ました。
競技の世界は、非常に厳しい世界です。特に水泳は結果が全てタイムで出ますので、練習の成果が必ず出るとは限りません。だからと言ってあきらめてしまうとそこで終わりですが、歯を食いしばって自分を信じて努力をすることで力もついてきて結果を出すことができます。それまでの過程は、同じことの繰り返しで楽な事は何ひとつありません。
しかし、ベストタイムを出して目標を達成した時は、北島康介選手の言葉が物語っているように「ちょ~気持ちいい!」の一言です。この気持ちは、目標に向かって「キツイ」思いをして頑張った人にしか味わうことができません。競泳もいろいろな「楽しみ」がありますが、この「楽しみ」に勝るものはありませんね。
泳法・競泳部門主任
河村 浩道