質問
世界中の一歳児の中で、なんらかの病気の予防接種を受けている子どもはどのぐらいいるでしょう?
A 20%
B 50%
C 80%
この質問は、ダボス会議(世界フォーラム年次総会)の出席者や世界中のマスコミ、銀行員、医療機関、研究機関、投資家グループ、大学などで出された質問の一つです。そして、いずれの場でも、答えにAの20%を選んだ人が過半数を超えました。
この質問の答えは、実はCの80%。正解率はなんと10%前後。小学校など、子どもに出題するともう少し正解率が上がるという皮肉な結果になっています。
「ファクトフルネス」という本には、このような質問が10数問載っており、ほとんどの質問において、多くの人が一番悪い結果を予想します。そこがひっかけ問題になっています。 なぜそのようなことが起こるのか、その原因は10の思い込みにあるそうです。例えば、人はネガティブな情報、悪い情報をより多く吸収します。そのためか、テレビなどマスコミに流れるニュースは、基本的にネガティブなものばかりです。その方が視聴率がとれるから、という事なのでしょう。
慈善団体の寄付の広告なども、アフリカの飢餓でガリガリにやせた子の様子などが多く掲載されているため、いまだにアフリカのほとんどでは飢餓で多くの子が死んでいる、という想像をする人が多いです。
もちろん、飢餓に苦しむ人たちが世界中にいるのは事実ですが、一日の収入が2ドル以下の最も低い所得レベルの人は、10億人程度。世界の人口が70億人以上いるため、60億人以上はなんとか生活できるレベルにはいます。
最初の質問で、世界中に貧しい人がたくさんいて、予防接種を受けられない人がほとんど、という思い込みを多くの人が抱くのは無理もありません。なぜなら、そのような情報しか流れてこないからです。現在のアフリカやアジアの、かつて貧しかったとされる国々の多くでは、高層ビルが立ち並んでいます。
実際に、1960年ごろには子どもが5歳まで生存する確率は先進国がほぼ全て90%以上なのに対し、途上国では生存確率が80%を下回る国が多数あったのですが、2017年の同様のデータでは、一部を除きほとんどの国の生存確率が90%を超えています。
これは、80%を超える予防接種の普及に加え、衛生環境の改善、食料や水、空気の清浄化、児童労働の減少などが理由となっています。
世界から悪いことが減り続け、良いことが増え続けているのに、悪いことばかりを強調すると、子どもも「今の世の中は大変なんだ」と思い込んでしまい、結果として生きる希望をなくしたり、無気力になったりしかねません。
新型コロナ騒動で、子どもの元気がなくなっているのだとしたら、それは大人が発する情報や言葉がけ、態度などにあるのかもしれないです。そうであるなら、未来に希望はある、将来は明るい、という言葉や態度で子どもと接することが大事ですね。
学童スタッフ 岸 健一
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