たかが水泳? されど水泳! 還暦コーチのひとりごと パート2

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「泳力が付けばつくほど水泳を楽しめるのに」

「目標達成したから」という退会理由の退会届を見る都度、ましてや平泳ぎもできていない子から「目標達成」などと言われると、現在も目標に向けてトレーニングしている「還暦コーチ」には残念で、水泳には楽しく生きるためのたくさんの要素が一杯あることをみんなに伝えたくなるのです。

生涯、水泳を続けて欲しいのですが、今回は、なぜスイミングクラブを途中でやめてほしくないのか、せめてはっきりと結果がわかる『タイム』がバッジテストの合否となる上級クラス、まで続けていただきたいのかという事について思っていることをお伝えしようと思います。

 

はじめるきっかけは様々でも

スイミングクラブに通うきっかけの理由は、体を丈夫にするため、もし水に落ちた時に慌てないように、日頃から水に慣れさせたい。また、頭を洗うのにシャワーで頭からお湯をかけるのを嫌がる、顔に水がかかるのが嫌いだからプールに入れてなれさせたい、などさまざまです。幼児さんの頃はプール嫌いでも構わないが、小学校で水泳の授業が始まった時に、泳げないと可哀そうという親心からスイミングスクールが子どもの習い事の上位に挙がっているようです。

 

水泳練習で心身に得られる効果

こうした様々なきっかけは間違ってはいないのですが、水泳練習は人生を左右するほどの様々な効果が得られることに注目していただきたいのです。

①プールでは溺れないかぎり、地球上でもっとも安全に運動できるので、ストレスが発散できます。これは他者にやさしくできる心につながります。

②陸上ではできない全身の操りができるので、全身がバランスよく鍛えられます。基礎体力作りには最適で、泳力がつけばつくほどその効果は高まります。

③心肺能力の向上には絶大な効果です。風邪をひきにくくなります。

④全身を伸ばす運動が多く、姿勢がよくなります(ゲームで姿勢を悪くする最近の子どもにはポイントかと)

⑤学習機能の発達に役立ちます。『できるできない』が分かりやすく、工夫ポイントが見つけやすいからです。

 

競泳の競技としての特徴

野球やサッカーなどの団体競技は一般的に、どの子がどの程度貢献したか分かりにくいスポーツです。個々の成績が良くてもチームの成績が良いとは限りませんし、逆もありますよね。

テニスや武道などの個人競技では、相手との勝ち負けはハッキリしていても、相手との力の差は明確にはなりません。

 

では競泳はどうでしょう。陸上競技と同様に、現在の力量がタイムに集約されてしまうところが特徴といえるのではないでしょうか。非常に分かりやすいスポーツです。NAPのジュニア学童のクラスでは12級からゴールドまで18段階。顔つけの12級から息つぎクロール15mの8級までが初級、背泳ぎ25mからバタフライ25mの3級までを中級。100m個人メドレー(四泳法)の2級からを上級とし、200m個人メドレーを合格すると、得意な種目で50m、規定のタイム以内で泳ぐと合格になります。つまり上級クラスの合格基準は良い悪いは別にして、タイムという一つの数字に身も蓋もなく集約され、お友達との差も、過去の自分との比較も直ぐに出来るというわけです。

 

進級テスト合否の要素

何故、同じ練習を同じように頑張ってもテストの時に差が出来てしまうのでしょう。

その答えは、子どもの発達段階がどの段階にあるのか、ということで大きく差が生じていると思います。

身体的に言えば身長体重。また、身体をコントロールする脳の成長がどの程度なのかという事も考えなければなりません。

ご存知の様に子どもの成長は直線的ではなく、突然急成長したり、停滞したりします。同じ様にタイムも爆発的に伸びたり、全然伸びなかったりします。(もちろん、身体的な面だけでなく気分も関係しますが・・)

 

「できる」ことの積み重ねが生きるための自信をはぐくむ

高学年になってくるとお友達と比較もする様になってきます。学校で同じクラス、NAPでも同じ上級、でもクラスが違えばテストの結果が気になるようで、「~ちゃんは何秒だった?」とお友達のタイムを尋ねてくる子もいます。そこで同じ位のタイムで泳いでいるとすると、『自分は人並みに出来る』という自信となります。練習の時、一番先に泳ぐか、最後で泳ぐのか、その時にも自信の有る無しが窺えます。お友達にぬかされると嫌だから最後で泳ごうか、頑張って泳いでみようか・・そんな思いを繰り返しながら自分自身の能力を確認し、勝ったときの喜びと負けた時の悔しさを繰り返しつつ、『自分は人並みにできる』という自信を持つ心ができ、さらに次のステップへ挑戦する原動力となっているような気がします。

NAPでは第7週目の練習がバッジテスト(進級テスト)の週になっています。それまでの練習や努力の成果を発揮できるチャンスです。その時は、合格すればしっかりと、たとえ合格タイムに届かなくてもベストが出れば、過去の自分に勝ったことを、残念ながら不合格の時には努力した事を褒めるようにしています。(いつびっくりするようなタイムで泳ぐのかわかりませんから)。もちろん、日頃の練習の時でも。

これからの人生を過ごす上で、自分を認めてあげる重要な要素となる『人並みに出来るという自信』を得るお手伝いをさせていただきたい、これが、クロール25m泳げたから、平泳ぎが出来たからと途中でやめていただきたくない理由です。

・・子ども達の成長だけに頼るのだけではなく、泳法の上達、修正をする事は出来る限りの補助を交え、指導していますのでご安心を・・

ジュニア学童担当 吉岡 淳

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