たかが水泳? されど水泳! 人生における水泳練習の意味と NAPでの指導について

学童期にNAPが期待する事

子ども達の成長にNAPが最も期待するのは、「いつでも、どこでも、だれとでも仲良くできる能力」を身につけて欲しいという事です。たとえどんな困難にぶつかっても「キレない」人に育ってほしいと願っています。

 

泳げることが心に影響する要点の整理

1 劣等感をはねのける

学童期は人生の最も大切な成長期です。特に有能感は、劣等感をはねのける重要な感覚です。

水泳は「できる、できない」がはっきりしているスポーツなので、「できる」という実感が持ちやすいのです。4泳法の手足の動かし方、特にバタフライの泳ぎ方は学校では教えないので、身に付けることにより、有能感を感じやすいのです。

 

2 大切なバランス感覚

低学年期ほど様々なスポーツに挑戦して欲しいものですが、水泳は全ての運動能力の基盤作りにつながります。他の競技と大きく違う点は、呼吸に制限があり、それを習得するまでに時間を要することです。そして、水中で必要とされる特殊なバランス感覚を身に付けることで、運動能力全般の向上になるのです。

 

3 運動能力の向上=身体の操りの器用さの向上

実はこの器用さは心のコントロールにきわめて大切で、低年齢期にこそ求められる要素です。水泳は全身運動ですから、成長期ほど偏らず、病気になりにくい肉体的な成長が期待できます。

 

4 ストレス発散の大切さ

子ども達は子ども達なりに様々なストレスを抱えています。それを内向させたまま長じると、暴力的発散につながり、事件になることさえあります。温水プール環境は、陸上運動に比べて年中安全に思いっきり身体を動かすことができるので、ストレス発散がしやすいのです。ここでは「楽しむ」ことが第一のテーマになります。楽しいと、人々は他者に優しくなります。ある人は「水は人々を優しくさせる」と表現しています。

 

5 集中力を養って欲しい

水中は、陸上には無い不思議な感覚を味わえ、泳いでいる時は自分のことだけに集中しやすく、泳ぎ終わったら頭の中がすっきりします。集中することの快感を実感すればするほど、物事に集中できる能力が養われます。

 

6 水難事故への最低限の防衛力を

ある幼児が川に落ちた時、ジャンプ呼吸ができたため助かったという話を聞きます。呼吸ができたり、遠泳ができるほど水難事故などからの防衛力が高くなることは言うまでもありません。

 

7 生涯スポーツへの入り口

競泳をはじめ、様々な水中競技がありますが、成長期に競い合いながら自分の能力を発見できることは他の競技スポーツと同様です。競泳が違うところは水着さえあれば手軽に取り組めることです。全身運動でしかも怪我をしにくいため、生涯スポーツに最適です。

 

泳ぎの大切さが身につくためのNAPの工夫

①「楽しい」の提供を第一に身体と心の発達段階を大切にした指導

心理学者エリクソンの発達段階論を参考にしています。水慣れから4級以下では「楽しく泳ぎを身につけよう」。3級以上は「楽しさを拡げるための泳力を身につけよう」です。

 

②学校では教えない様々な泳法が身につくプログラム

学校では飛び込みができませんが、NAPでは基本さえ身につければ安全に練習できるとの判断で取り入れています。平泳ぎ、背泳ぎ、バタフライはもちろん、潜水や遠泳、シュノーケリングも練習することがあります。

 

③進級は加点法で評価

何ができれば進級できるかを級毎に示しています。進級テストでは本人の挑戦意欲を尊重して、時間のある限り何度でもテストに挑戦できる ようにしています。そして合格できたらその場で伝え、進級バッチを渡し、上級の合格者には名前入りの盾を進呈しています。

 

④できた・できないだけではない進級評価

その子の体力、友達関係、コーチとの関係などを総合的に判断します。進級基準と違った判断をした場合は、保護者の方や本人に納得していただけるよう説明をしています。

 

⑤個人別練習カードの作成と、練習前の説明

本人の希望も聞き、毎回練習内容を理解してもらうように努めています。また、「やらされ感」を取り除きたいと工夫もしています。練習前にはカードの説明をしますので、時間に遅れないようにお願いします。欠席の振替は受け入れていますが、練習内容の組み立てが違ってきますので、可能な限り欠席されないようお願いします。お子様には「今日はどんな練習だった?」とカードを見せてもらってください。

 

⑥達成感を大切にした指導

コーチは、進級テスト合格だけではなく、級ごとのステップ項目、目標タイム、目標距離などのクリアを応援しています。クリアできた時には、その喜びをコーチも共有することを大切にしています。

 

⑦コーチと子どもとの大切な信頼関係づくり

第一は互いが名前を呼びあうことから始まります。それぞれの関係の深さにもよりますが、お互いにニックネームで呼び合うことがあっても良いと考えています。そしてクラスの仲間同士の信頼関係も大切にしています。NAPでは泳力を基本としたクラス編成なので、異年齢で、学校の違う友達同士であることの良さを生かすようにしています。さらに「行動の記録」という心理分析の道具も利用し、子どもの個性を読み取る工夫もしています。

 

⑧子どもの成長を保護者の方と共有したい

コーチから連絡があったら、お子様と一緒に成長を喜んでいただきたいと思います。

 

⑨毎月一回「優しいお母さんになれる子育てヒントのお話し会」を開催

講師は「優しいお母さんになれる子育てヒント」(雲母書房刊)の著者の樋口邦彦氏です。私たちがプログラム作りの指導を受けている先生です。プログラムの背景にある考え方をわかりやすく話してくださいます。関西弁での漫談調で、毎回爆笑が聞こえてくるお話し会です。希望の方々には個別相談も受け付けています。

1回2時間の3回シリーズで、3回目終了後、NAPから著書を贈呈しています。

ジュニア学童上級チーフ 建林 晃

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