私が受け持っている学童上級クラスのK・Iちゃん(11歳・新6年生、以下Kちゃん)。Kちゃんは幼稚園の時からNAPに来るようになって今年で六年になります。ジュニア幼児クラスから始めて今では学童1A級(200m個人メドレーのタイム目標)の練習中です。私が担当している女の子でキック(バタ足)が一番速く、男子と合わせても1~3番目ぐらいの泳力があります。そんなKちゃんの成長を振り返ってみたいと思います。
ちゃんと練習をしてくれない
そんなKちゃんも、私が担当する上級クラスに進級したばかりの頃は速く泳げずに、いつも最後列を泳いでいました。泳ぎも安定していないためか、練習にも身が入らず、潜水をするか、それ以外の練習は背泳ぎばかりしていました。
1年前(Kちゃん4年生)2級(100m個人メドレー目標)を合格し1C級(得意種目50mのタイム目標)に進級したばかりの頃、私が提示した練習メニューなど無視して背泳ぎばかりしていたので、
「今は違う泳ぎの練習でしょ!」
と注意すると
「私は背泳ぎが得意で他の泳ぎはそんなに速くないから、背泳の練習がしたいの」と私の言うことなど聞こうとしません。Kちゃんとしては、他の子に負けたくない気持ちだったようですが、練習内容が偏ってしまうため伸び悩み、他の子に勝てずにむしゃくしゃする、そしてまた練習に身が入らないという悪循環にはまっていました。
私は本人の納得が第一だと思い希望する練習をさせましたが、少しでも気づいてもらうために毎回タイムを計って読み上げるようにしました。それは、他の子とのタイムの違いがわかるからです。それを繰り返していると、負けていることが分かり、それが悔しいのでしょう、少しずつではありますが、頑張って泳ぐようになりました。
自ら考えるようになった
5年生に上がった時、「私どうしたら速く泳げるようになるのかな?」と聞いてきました。
私は嬉しくなり、泳ぎのアドバイスをすると、一生懸命理解しようとしてたくさん質問をしてくるようになりました。
それがまた嬉しくて一度にたくさんのことを言ってしまうこともありますが、それでも本人は混乱しながらも一生懸命やってくれるようなりました。このような状況が続いていましたが、「私は理解することが苦手だから、今までの練習もよく解らなかったところは、自分で思うようにやったの」と教えてくれました。これまで私が提示した練習をしなかったのは、私の説明の仕方が悪かったのだと気づかされました。
そこで、ゆっくり何度もわかるように説明を繰り返し、納得させてから練習を始めるようにしました。
何度も説明していると、他の子も練習内容を覚えてくれるので、練習も質が良くなり、しっかりと理解してくれるので、その結果泳力も上がってきました。
練習が自信とやる気と楽しさを教えてくれた!
そんなゆっくりだけど着実に泳ぎが良くなってきたある日、週二回にすると聞き、私はとてもびっくりしました。
「どうして週2回にしたの?」と聞くと「最近速く泳げるようになっ
て楽しいの!」と答えてくれて、とても嬉しかったです。
週二回基礎的な練習を続けることで、実力がどんどん伸びてきて、いつの間にかクロールやバタ足がとても速くなってきました。
そのうち先頭を泳げるようになりました。先頭で泳ぐには、メニューをしっかりと把握し、ペースクロック(プール壁にある時計)を見て何秒のところでスタートするか(サイクル)確認をしないといけません。このことは、それまでの彼女が苦手とすることでした。それも見事にできるようになったのです。
こうした最初の頃とはかなり違う様子から、子どもの成長速度の速さを実感しました。
どんどん努力を続ける・・・心の成長が次のやる気に!
Kちゃんの一番苦手な泳ぎは平泳ぎでした。これも何とか速くなりたいと「平泳ぎステップアップ教室」に参加して、格段に進歩しましたが、それでも直らないところがあったので、スマホを使ってビデオに撮影して見せると、その動画を見て「ここかぁ‼」と理解してくれました。
その時とても嬉しくて何度も「ここだよ!」と言いました。
こんなKちゃんを見ていて、社内での「心の発達段階」の研修で、子どもは10歳を過ぎてくると「ルール」や「評価」が自分の物差しに置き換わってくるようになり、今自分ができることを納得できたら「自分はできるんだ!」という心(有能感)が芽生え、その心を基に次のレベルを目指して頑張るようになることを学んだのですが、Kちゃんが上級クラスに進級したのが4年生の時。ちょうど10歳です。それからのKちゃんの成長はこの発達段階の考え方通りと言っていいような成長をしていきました。心の発達段階は大切な考え方だなぁと思いました。
水泳だけでなく他にも自信が…スケートにも参加♪
Kちゃんは、去年の12月のスケートイベントに、友達を誘って参加してくれました。その話を聞き、本人にスケートどうなの?と聞いてみると「私とても上手だよ」と言っていたのですが、ちょっと信じられずに、「え~本当に?」と聞くと「信じないなら見てみれば!」と自信満々に言われ、私はこんなこと言うなんて・・・と度胆をぬかれました!!
当日、とても上手に滑っていて
「どう?先生、見直した?」
と得意げな顔をしながら
「私、運動神経いいから!」と言って友達と楽しそうに滑って行ったのがとても印象に残っています。
こうしてどんどん成長していくKちゃんに、私は大切なことを学んでいます。これからは競泳コースにも挑戦して欲しいと思っています。
Kちゃんこれからも一緒に頑張ろう!
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