私の読んだ窓ぎわのトットちゃんは、一九八四年刊行の文庫版『窓ぎわのトットちゃん』の新組版というものです。ベストセラーになったと書かれていましたが、黒柳徹子さんの本がこんな有名だとは知りませんでした。
この本は、第二次世界大戦が終わる、ちょっと前にあったことが書かれている本です。イメージができないこともありましたが、頭の中で場面を想像しながら面白く読み進めることができました。実際こんな子が目の前にいたら、お笑い芸人をみているより面白いのではないかと思ってしまいます。
学校ではないですが、私のジュニア学童のクラスにトットちゃんがいたら、小林先生のように「君は本当はいい子なんだよ」と言って接することができるか、考えてしまいます。しかしきっと、トットちゃんが楽しくプールに来られるように、あれこれ考えます。いろいろな道具を使ったり、一見遊んでいるように見えたりすることもやってしまうかもしれません。(もちろん、泳ぎが上達するだろうと思って考えた遊びです)
それから、トットちゃんがどうして周りから見たら迷惑だと思うことをしてしまうのか、考えます。そしてトットちゃんに聞くのです。どうしてそうしようと思ったのかを。きっと物凄い勢いで話してくれると思うのです。そうすれば、楽しくプールに通うことが出来ると思うのです。他にも、必要であればトットちゃんのお母さんと話をすることもあるかもしれません。クラスに上手く馴染めないときは、何とか方法を考えて、トットちゃんが仲間に入れるように手を尽くします。
小林先生は、トットちゃんだけでなく、トモエ学園でなければ劣等感を抱く可能性がある子ども達を、素敵な子にしています。ひとりひとりのことを考えて、その子たちが集まったらどうなるのか考え、集団の中でひとりひとりを輝く子にするのです。大変な事だと思います。
トットちゃんのママとパパの言葉もいいなと思います。「一生のお願い!」の章は、のちにトットちゃんの成長に繋がります。ママはトットちゃんのことで、不安なことがたくさんあるのではないかと思います。しかし、誰のせいにするわけでもなく、誰かと比べるわけでもなく、将来のトットちゃんを思い浮かべながら、今トットちゃんがトットちゃんらしくいられるように努めていたと思うのです。
この本を読むと、どんな子にも個性があって素敵だなと思えます。目で見てすぐにわかる個性。見た目ではわからない個性。大人にだって個性はあります。しかも、成長するにしたがって、服装、髪の色などで見た目の個性を出すことも簡単になるし、好きな所に行って、好きなものを見て、好きな音楽を聴いて、個性を極める事ができます。
個性の出し方も、子どもの頃否定されて大人になり、思う存分発揮するよりも、子どもの頃から認められ、自分の長所だと思って極めていけるほうが良いのではないかと感じます。
挿絵もあり、会話のように進んでいく本なので、とても読み易かったです。みなさんもぜひ読んでみてください。
スタッフ 藤井 美帆
コメント