水泳って不便?
水泳というスポーツは、他のスポーツに比べて不自由です。ジョギングなど道具がなくてもできるものもありますし、サッカーはボール一つ、野球もバットとボール・ミットがあれば十分です。それに対し水泳は、近くに海や川がない限りプールを利用するしかありません。しかも、水着に着替え、泳ぎ終わった後には全身を拭いて髪も乾かさなければなりません。
また、水泳は呼吸も不自由です。潜るために呼吸を長時間我慢する必要があります。さらに陸上とは違った筋肉も使いますので、泳ぐ習慣がない人が急に激しく泳ぐとかなり疲弊します。泳ぐこと自体はとても健康効果が高いですが、それ以外にもこれらの不自由さを体験できる効果も期待できるのではないかと思います。特に現代の子ども達にとっては。
忍耐力を育む水泳!
現代の子ども達は、いろいろな面で恵まれています。そのため、不自由さ・不便さへの耐性が低いとも言われています。それが、ちょっと気に入らないことがあったらすぐにキレたり、数度の失敗で簡単に挫折したりする原因になっているとも考えられます。子どもの頃から不自由さや不便さを意識的に体験する環境を整えてあげることも大事なのではないかと思います。
水泳は基本的にプールの中でしかできないので、上手になるには限られた時間で効率的に練習するのが一番です。そこで、集中力や時間管理能力も養われます。何より、多少自分の意に沿わないことがあっても、それに負けない精神的な強さの向上が期待できます。
アウトドアはもっと…
プール以上に、アウトドアの活動をするとその効果はさらに顕著になります。ナップでも海や山などでの活動を行いますが、天候の急変や虫などの生物、その他の様々な障害が襲いかかることがあります。しかし、自然に抵抗しようとしても限界があります。今年は台風も多く発生していますが、台風に勝とうとしても無駄なのと一緒です。プールにしてもアウトドアにしてもそうですが、さらに一歩進めて、そのような不便さの体験をすることから、本当の幸福とは何か?について考えるきっかけになってもらいたいと願っています。
息子の感想は…
例えば、あるお金持ちの話があります。そのお金持ちには幼い息子がいました。その息子が貧しい人を見下すような態度をとることが気になった母親は、貧しい人の気持ちを理解させようとして、ある田舎の貧しい農家に息子を1人っきりで1週間預けました。1週間後、息子が晴れ晴れした表情で帰ってきました。母親は息子が貧しい人達の生活を知り、彼らの気持ちを理解したと共に、自分がどれだけ恵まれているのかを学んだのだろうと思って、息子に感想を聞きました。ところが息子の感想は、母親とは全く違うものでした。
息子の感想はこうです。「うちではペットが飼えないのに、あの家にはウサギとかニワトリとかがたくさんいた」「うちはスーパーで買い物しないとごはんが食べられないのに、あの家はとれたての野菜が食べられた」その他にもきれいな星空が見られた、困っていたら誰かがすぐに助けてくれた、泥棒対策の必要が無かった、などなどです。
ちょっと強引な例えだったかもしれませんが、不自由さや不便さは知識で知っているだけでは本質は理解できません。それだと母親のような勘違いをしてしまいます。それよりも、息子のように実体験をできるだけ若いうちから多くすることが大事だと思います。
ジュニア学童教室担当 岸 健一
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