水泳を通じて、子ども達の 外社会への自立成長のお手伝い

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学童期は外社会への自立への準備期

学童教室の基本は「泳法指導」です。ですから水慣れから始まり、近代4泳法の習得を目指して日々子ども達と向き合っています。

しかしながらこの時期の子ども達は外社会への自立という課題を背負っている成長段階で、年齢に応じた対応が大切です。そこでNAPでは泳法習得を軸にしつつも、その習得過程に自立のお手伝いができるのではないかと強く感じたのです。

 

「泳げる」実感がくみ出す生活力とは

泳ぐという事は「できる」「できない」がはっきりしているスポーツです。走るとか投げるとかは、形はどうであれ教えなくてもできます。

しかし泳ぐ動作はなかなか教えられても出来ません。クロールの息つぎに苦労された方も多いと思います。苦労した分息つぎだけでも、他者にその喜びを共有してもらえることにより「できた」という心に実感が生まれます。この、「できた」という「心のうごき」を私は自分を認める心=「自己肯定感」ではないかと思っています。

これがいわゆるこの年齢期に特に必要な「有能感」だと私は理解しています。この自己肯定感の強まりは、この時期の生活を楽しむための大切な心です。そして様々な生活能力への意欲の基盤、何事にも負けない強い心の基盤ともなり、外社会へ出ていく大切な心の準備です。

このような水泳の特性から私たちコーチは、泳力向上の喜びがこの自己肯定感を沢山持てることにつながると確信して、泳法指導に携わっています。人並みよりは水泳が得意であるという「心」が「自己肯定感」の広がりを感じる心につながっているからです。

 

「バタ足キック」の壁にぶつかった かずき君

これはその思いが通じたのではないかというドキュメントです。

その主人公は、かずき君(小6年)。彼は幼児期にはスイミー教室でファンタジーの世界の中で水泳を楽しんでいました。小学校入学を機に学童教室に移行して「泳法習得」を目指したのです。

最初の初級クラスでは順調に進級していきました。中級クラスで4泳法の習得を本格的に始めることとなったのですが、彼には苦手な事がありました。それは「キック(バタ足)」でした。一生懸命取り組むのですが、苦手意識があるものですから、「キック練習」が始まるとついつい後ろに下がって順番を遅くしたりしていました。しかし本来水泳が好きなので、「キック」に苦労しながらも練習を重ねなんとかバタフライまで合格して、上級クラスに進級したのです。

しかしそこで彼は大きな挫折に直面するのです。上級クラスでは泳ぐ距離が今までとは違い多くなります。ましてや苦手な「キック練習」は上級クラスの重要な基礎となるものですから、時には時計を見ながらサークル練習(決められた時間内たとえば1分以内に50mをキックで泳いできて、それを10回くり返す)をこなしていかなければならないのです。

彼が4年生の6月の練習日、担当は山下コーチでした。山下コーチはキック練習が苦手と知っていながら、あえて頑張って欲しいという気持ちでこのキック練習をサークルメニューに取り入れていました。そして練習が進んで行くうち、だんだんと遅くなっていくかずき君に対して叱咤激励の意味で、大きな声で「かずき、キックをもっと速くけりなさい。」と言ったのですが、苦手な上、名前を呼ばれたので叱られたと思いこみ、泣きながらプールから上がったのでした。

 

キック練習のアドバイスで「有能感」が芽生えた

そのことがありお母さまより『キックが苦手なのでそれを克服する為にもう一度初級クラスからやり直しして欲しい』と相談を受けました。

私はかずき君と直接面談をして彼の思いを聞き取りました。「水泳が嫌いになったのかい?」と問いかけると、彼は首を横に振りました。「キックは苦手で嫌かい?」と問いかけるとうなずきました。

そこで私は彼に簡単にキックが速くなる方法をアドバイスしました。それは足首を回す事でした。それを毎日何回でもやるときっと速くなれるということを言ったのです。そして最後に「毎日することが大切だけどできるかい?」と問いかけると

「やる」とうなずきました。

そのことが苦手意識を克服したかどうかはわかりませんが、その後は練習に遅れず参加して、休むことなく週2回の練習に参加するようになり、結果現在彼は上級1B級まで進級しています。そして50mクロールのベストタイムは42秒です。この記録は6年生にしては速いタイムです。

苦手なものを自らの力で克服して今は泳ぐことが楽しい、記録が出れば嬉しいという思いがみなぎってきていることが彼の表情を見ればわかります。挫折しかけたけれど、ちょっとしたアドバイスで、自分を認める力「自己肯定感」、水泳が得意だという「有能感」を得たのだと感じています。

 

コーチの責任を再確認する機会をくれました

彼も来春には中学生になります。今までとはまた違った環境になりますが、心の強さで乗りきれると確信しています。と、同時に子どもたちは様々な悩みを持っており、それをしっかり読み取り、適切なアドバイスを求めていることを改めて教えられました。

そしてそのアドバイスの一つ一つが、これからの人格的成長に大きな影響力を持っており、それだけの責任が問われているのがコーチの仕事だと再確認できました。

かずき君ありがとう、そして一緒にもっともっと頑張ろう!

ジュニア学童上級チーフ 建林 晃

 

かずきには、プールで泳ぐことが大好きになって欲しい、体力をつけて欲しいと願い、幼少期からNAPでお世話になっています。

NAPでの先生方の指導のお陰で、バタ足キックで挫折しかけましたが、長い間続けることが出来ています。プールで泳ぐことが大好きになり、風邪など病気になることもなく、2年生から学校を一度も欠席することなく、元気に過ごしています。

かずきは走る等の運動は苦手ですが、水泳はNAPで学んだお陰で得意になり、6年生の学校での記録会では、リレー選手にも選ばれました。かずきの一生懸命泳いでる姿を見て、親としてとても嬉しく思いました。

『継続は力なり』という諺のように、継続は大切だということを我が子の成長の姿から実感しました。NAPを続けてきて本当に良かったと思っています。本当にありがとうございます。そして、今後ともよろしくおねがいします。

かずき君のお母さまより

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