自然のままにK君ものがたり
ありのままで子どもらしい
3歳の時、Kくんは【すいみ~くらぶ】に入りました。その頃は、すべり台を独り占めしてすべりたいと言っていたのを思い出します。
4歳になるとお友達とぶつかってよくケンカ。
5歳になると『こうしたらいいと思うよ』なんて自分の考えをコーチに言いに来ていました。
6歳になると異年齢の群れの中で物語を引っ張れる存在になりました。一貫してスイミ~でやりたいことを存分にしていたように思います。
4歳頃はお友達とぶつかりましたが、どうしたら良いかを自分で考えていくことも増えました。やりたいと思えばすぐに体が動く時期(4歳~6歳)は、自主性が伸びている時なので、指示されるよりは自分がしたいと思ったことをやりたい!よく考えれば当たり前で、ありのままの子どもらしいお子さんです。
お母さんに伝えたこと
3歳の頃は、『お母さんご心配でしょうし気になるでしょうが一人遊びで意志を発揮していますから』
4歳の頃は『私たちが気をつけてその時に理由を聞いて対応します』
6歳では『自主的に物語を引っ張っておられます。』
先日、お母さんに泳ぎが上手(なんと4泳法を見よう見まねで泳ぐ)なことを話すと、Kくんに『Kちゃんすごいね。』と嬉しそうに言われ、『3歳の頃、心配していたのが嘘のよう』と喜ばれました。
子どもの自立への知恵
子ども達が環境の中(スイミ~くらぶ)でありのままに成長していく姿を目の当たりにします。
少し前にNHKでダイヤモンド博士の番組がありました。進化生物学者ジャレド・タイアモンド博士は、パプアニューギニアなど伝統社会で生きる知恵が、現代社会の生活に役立つと言っています。子どもを育てる伝統社会には、現代の社会が失いつつあるさまざまな利点があり、ありのままに子どもを育てることが自立につながるという知恵があります。
現代社会になっても生物学的に人間の進化は進んでいませんので、伝統社会と同じく、子ども時代は将来社会に出る為に、ありのままに模倣体験を重ねて成長していきます。
暮らしている社会の中で生きるための体験(遊び)をしているとも言えます。
もちろん子どもですから大人が思うほどうまくいかないこともありますが、教えていくというよりも様々な環境の中での模索と周りの大人の真似、見守り、困った時に手を差し伸べて助けていくことで、安心して成長していくのではないかと考えます。
ポジティブな子ども時代を
エリクソンのライフサイクル論(心の成長)の発達段階には発達課題があり、それがポジティブに解決されるかネガティブに解決されるかによって人格が影響を受け、ポジティブに解決できれば『自分は大丈夫』ということを認識できる状態が得られるとされています。
具体的には、ポジティブな力がネガティブな力を上回ると社会に適応できる健康的な発達を遂げ、より良く生きる力(人格的活力)が獲得されるということです。
表にあるように幼児期後期(スイミ~の子どもたち)の発達課題は、『自主性』VS『罪悪感』です。
この時期の子どもは、自分で考えて行動する自主性が見られるようになり、周囲に対して自ら働きかけるようになります。
自主的な行動に対し、叱責を過度に受けると、失敗して周囲の失望や叱責を招 くのではないかという感覚(罪悪感)を抱くようになります。
この罪悪感(ネガティブ)を上回る自主性(ポジティブ)を発揮させたいと考え、指示待ちを作らないというスタンスのもと、スイミ~くらぶができました。私の長男が幼児後期の時に、こんな教室があったら理想だと考えて当時の仲間と立ち上げた教室です。
教室では、 言語能力も運動能力も発達した多くの子ども達が、会話による意思疎通を行い、自ら考え自ら動き出します。そんな逞しい姿を見る度に、これからも多くの子どもたちがこの教室で楽しみ、自主性を伸ばしてほしいと願っています。
子ども初級チーフ 蔵本 信江
Kくんのお母さんより
水の中で遊ぶことが大好きで始めたスイミ~。本人は満喫しているけど、みんなから離れて過ごし心配…しばらくするとスイミ~でも保育園でもお友達とのトラブルが増えて、とても悩み、先生にちょこちょこ相談をしていました。
幼児期の発達段階を聞き、『大丈夫ですよ!』と、本人の思いと行動を見守っていただき安心できました。
あんなに心配していたのに、物語を引っ張れる存在になったなんてびっくりです。
ありがとうございます。
コメント