やわらかい心で好(よ)き縁を引き寄せる

我が社のコンセプトは、『全世代の人々の居場所作り』です。お腹の中の赤ちゃん(マタニティ教室)から始まる全ての世代の方々に、少しでもホッとできるような安心感をお届けできれば嬉しいです。

日常の日々は決して楽しいことばかりではない、辛く苦しいこともたくさんありますが、自分の存在意義を感じられる場所があれば、未来に向けて生きる力になるはずです。

NAPプログラムの基盤は三つの心理学

前述のコンセプトを満たすため、NAPでは遊びの発達段階論やユングの行動理論(入会時にお願いしている行動の記録の基礎理論)、エリクソンのライフサイクル論の研修を受講しています。それを各教室や個人プログラム、その他諸々に反映させ実施するのが理想です。

まだ未熟で不十分な点は多いのですが、日々努力しています。

 

目次

人は生涯にわたって発達し続ける

成長や発達というと、子ども達のことだと思いがちですが、心理学者エリクソンは人間は生涯に渡って発達し続けることを提唱し、人間の成長段階を「乳児期(誕生~1才半頃)」「幼児前期(~3才頃)」「幼児後期(~6才頃)」「学童期(~12才頃)」「青年期(~20才頃)」「成人期(~40才頃)」「壮年期(~65才頃)」「老年期(65才以上)」の8段階に分けました。

今の時代、65才はとても若々しいので「老年期」の文言がそぐわないのはさておき・・・。そして、各時期の節目となる課題や予定である「構成要素」について掲げています。

 

今回は私たちが学んだ「老年期」の発達段階についてほんの少しご紹介します。

自分の人生を受け入れる「英知」とは

老年期は子育てが終わったり、退職して余生を過ごしていたり、身体の老化と直面し、死と向き合うことにもなる時期だとしています。この時期の構成要素は「統合性VS絶望」で、この葛藤を解決した時に獲得する心理-社会的な強さは「英知」の感覚だと言っています。

体の衰えに対して受け入れがたく、時間も残り少ないと不安になり、悲観し絶望する感情もあるでしょう。しかし、それまでの各段階で獲得してきたものを振り返り、自分の人生を受け入れて統合(複数のものをひとつにまとめる意)できる感情が上回れば「英知」の感覚を得られるというのです。

ここで言う英知とは、知識や教養のことではなく自分が選択した残りの人生を生きていく態度そのものを表します。その英知の感覚を様々な葛藤を通して獲得することが、この時期の課題となるというのです。

「出会い」が人生を左右することも

エリクソンは、心理-社会的な側面からライフサイクル論を展開し、今後成長が未来に向けてどのように分化していくかを前向きに考察しました。その際にとても大きいのが「出会い」だと言います。それは人との出会いだけではなく、物や環境による出会いも含まれると私は解釈しています。【それぞれの「出会い」とそこでの危機や葛藤の経験と課題の達成が、社会に属する一人一人の成長を促進していき、それが社会そのものを健康的に保つ原動力となる。】とのことですが、例えばスランプに陥っている時にふと耳にした音楽の歌詞に力を貰って考え方が拓け、スランプから脱する・・・ということもあるでしょうし、生まれた場所との出会いが人生を決めることもあるでしょう。

ことに人との出会いは両親との出会いから始まり、自分も相手もお互いに影響を受けたり、周囲の人たちに影響が波及していくこともあり、友達や先生との出会いが人生を左右することもあります。

相田みつをの「その時の出逢いがその人の人生を根底から変えることがある」という言葉もありますが、よき出逢いは人生の宝になりますね。

レッスン後の茶話会での学び

水中ウォーキング教室では、水曜日の朝・夜・金曜日の昼の各教室後に自由参加で茶話会をしています。

お茶を飲んだりお菓子を食べたりすることが目立つので、「松本さんはダイエットプログラム中なのに食ってばっかり!」などと突っ込みを入れられたことも・・・。まぁ、それも事実なのですが、運動後のリラックスした空間でいろんな会話が広がり、皆で共有することが重要だと考えています。美味しいもの、商品や行事のお得情報、旅行の話エトセトラ、聞いていて大変役立ちますし、楽しいです。

また、戦争を経験された方の満州での辛い出来事や引き上げの話、教室に参加するきっかけになった怪我や故障や身体の不調の話、ライフワークになっている趣味の話、仕事で現役だった頃の苦労話や得意分野の話など、これらを聞くとそれぞれの方の人生の根幹や一端に触れた気持ちになり、心を動かされます。

老年期だけではありませんが、特にこの時期に必要な出会いは、自分の人生の話に必要な時に耳を傾けてくれる人の存在だそうです。それは、同じ老年者でも良いし、次世代の人でも、子どもや孫でも良いのです。

また茶話会では、自然な流れで各人の趣味の話になることも多いです。そこから会員さん同士が教室を離れた場所でお出かけされるという関わりも広がっているようです。教室の前後でも可能ですが、茶話会の時間と空間は、ありがたいことにそれを自然に引き出せる場所だと感じています。

「自尊好縁」を繋げていきたい

「自尊好縁(じそんこうえん)」は、故・堺屋太一さん考案の造語で、満足社会の方程式と謳われています。

茶話会に限らず、そんな時間と空間をこのスポーツクラブNAPという場所で少しでも多く提供していくことが、私たちインストラクターの使命(仕事)です。そして私たちも生き方の学びを頂こうとしています。良い点も悪い点もそれが自分だと認め、受け入れることができれば自分を尊重する「自尊」となり、心が安定するというのです。それは他者も認め受け入れる出発点になります。硬い壁には弾き飛ばされますが、自分も他者も認めることができるやわらかい心は吸収力があり、様々なことをクッションのように受け止められると思います。それが人・物・環境の好い縁へと導いてくれるのではないかと思います。そしてふと襲われる孤立感の癒しになるように思えます。

成人部門スタッフ 松本 真佐美

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