これまでは自分自身の選手時代の『時間』『準備・確認』についての失敗談でしたが、今回は、私が水泳指導に携わってきた中での失敗を書いていこうと思います。
私が水泳を始めて約32年。その内、約17年間、競泳選手に限らず、幼稚園3才児さんから最高齢79歳の方まで、あらゆる世代の水泳指導に携わってきました。
泳法指導には、ある程度のマニュアルがあります。NAPでも指導マニュアルがあり、最初はそれに沿って指導ができるように研修をしていきます。
誰にも合う指導方法なんてあるわけない
基本的な指導方法はありますが実際に指導する場合、この指導方法に当てはまらない場合が多くあります。むしろそちらのほうが多いかもしれません。
なぜなら人によって、年齢・性別・運動歴・筋力・柔軟性などみんな違うからです。その時の精神状態にもよりますから、話をしながら普段の表情・話し方の違いなどを敏感に感じとる事が必要です。
「百人百通り」の言葉通り、その人がどうすれば上手に・スムーズに泳げるようになるか、その人にあった指導方法を常に考えていかなければいけません。
補助だけが泳法指導ではない
泳ぎを習得していく中で、全く動きが分からない人には、基本的に手や足を持つなどの補助が必要不可欠です。
しかし、それ以上に『言葉』が大きな役割を果たします。また、同じ言葉を使ったとしても、「大きさ」「高低」「話す速さ」「表情」受け手の「気分」「体調」「年齢」「性別」「泳力」など様々な要因が重なることで、人によって伝わり方・受け取り方が変わってきます。
成人泳法教室の指導は難しい
泳法指導を長年行ってきて、一番難しいと感じているのは、成人対象の泳法教室です。もちろん、学童・競泳なども難しいのですが…。
何が難しいかというと、今からの練習で気を付けて欲しいところを説明することです。それは、成人も子どもと同様に、とにかく泳ぐことで泳法は上達するのですが、頭の中で考えて納得してから泳ごうとする傾向があるからです。
振り返ってみると
泳法指導を始めたばかりの頃は、説明時間が長く、教室の半分がその時間になってしまい、毎回反省をしていました。今思うと、自分自身、内容をきちんと理解せず、ポイントも絞り切れていなかったからでもありますが、伝える言葉の選択を考えていなかったことが大きな原因だったのではないかと反省しています。
当時は、話をする内容・言葉を自分の基準に合わせていたので、これぐらいは分かるだろうという感覚でした。例えば、「ノーブレクロール」とは、「息継ぎ無しクロール」のこと。水泳を習ったことのある人はわかりますが、初めて泳ぎを習う方にはわからない言葉です。指導する相手の事を考えて言葉を選ぶことが、とても重要なことだとは気が付いていなかったのです。
今では、「そんなん当たり前やん」と思うのですが…。
競泳・泳法主任 河村 浩道
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