★抱きしめるということ

「きみはいい子」という映画を観ました。主な登場人物は学級崩壊気味のクラスに悩む新米男性教師、自分の子どもに虐待を加え自己嫌悪に陥る母親、初期の認知症で一人暮らしのおばあさん。観る人の視点によっていろいろな解釈ができる展開でした。私にとっては、子どもの良い面を探すのは本当に難しいと特に感じられ、自分の携わっている仕事に関係することなので興味深く観ました。

 

目次

「いい子」とは?

「いい子」とは、先生の言うことを素直に聴く子なのか。他人に迷惑をかけない子、親や先生にも甘えずなんでも完璧にこなす子。映画の中には、実にたくさんの子どもが登場します。そして、大人がどのように子どもを見るかによって、「いい子」は大きく左右される。そんなことがよく表現されていました。

「いい子」の見極めの難しさの理由は、子どもにだけあるのではなく、実は接する大人の側に、より大きなウェイトを占めていると感じます。

 

家族に抱きしめてもらう?

新米男性教師は、子ども達に注意を繰り返し、懸命に努力を続けるものの、学級崩壊状態。

ある日、男性教師は怒ることをやめ、子ども達にある宿題を出します。「家族の誰かに抱きしめてもらってきてください」という変わった宿題。この宿題を機に、子ども達との関係が変わっていくのですが、なにより男性教師自身がこの経験から一番大きく成長したようでした。

子どもに厳しく接してしまう母親は、夫が単身赴任のため娘との二人暮らし。表面上は「普通」の親娘ですが、家で子どもがいたずらや失敗をすると、子どもが泣き叫ぶまで

折檻を加えてしまう。この母親は子どもの頃にたばこを押し付けられるなどの虐待を受けていました。

ある日他の母親から「あなたも」と言われ、虐待を受けていたことを打ち明けられます。その言葉に救われるように、虐待の連鎖からの第一歩を歩み始めます。

発達障害の子どもとおばあさんのエピソードもありました。おばあさんは、「障害がある子」と特別な扱いはしませんでした。色眼鏡なしに接することで、子どもの本当の良さ、良い面を自然に探し当てていました。子どもの母親は、「そんなふうにほめられたのは初めてです」と感謝します。

子どもと接する時、「こういう子だからしかたない」とか「いつも問題行動をとるから、今日もきっとそうだろう」などと決めつけてしまいがちです。

そんな時は、子どものありのままの姿を見ずに、自分が思っている「いい子像」を子ども達に押し付けているのではないか。この映画を見て、そんなふうに感じました。そして、その事実にはなかなか自分では気付かないものだとも思います。客観的な視線がなければ、押し付けがエスカレートして虐待などに繋がっていくのかもしれません。そしてそれを気付かせてくれるのは、往々にして子どもなのかもしれません。

ジュニア学童教室担当  岸 健一

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