指導歴30数年の新米コーチもNAPの水になじんで早や3年近く。
長年の指導が「押し付け」であったことに衝撃を受け、一から学ぶことが多かった月日でしたが、最近自分なりに子ども達と一緒に「できたこと」を共有できる環境になりつつあると実感しています。
以前在籍していたクラブでは名前、顔と、ある程度の泳力さえ分かれば自分の考える指導法で練習すれば必ず泳げるようになるし、上手になると思い込んでいました。子ども達を上からしか見ていなかったのです。
しかし、NAPでは子ども達自らが「学ぶ」ということが最大のポイントです。
平泳ぎでは、「キック」の指導がポイントになりますが、指導の前には、8週カリキュラムを作成し、2ヶ月の到達目標を一人ひとりの顔を思い浮かながら考えていきます。
以前は補助をして指導することが中心でしたが、その指導では、子ども達は「できた」ことを実感できないのではと気づきました。
そこで、1・2週目は補助をしたり、模範を見せながら「こんなキックできる?」と挑発を仕掛けることに。
子ども達は口ぐちに「できるよ!」と言いながら、我先にスタートしていきます。
これこそ「学ぶ」のスタートラインだと思うのです。
スタートがうまくきれれば、多くの補助は必要ありません。手を出さず、しっかりと「声かけの補助」で進めていきます。
それでも、補助が必要と判断したら、しっかり寄り添い、補助をします!
スタート側よりゴール側に経つことが多いのは、こんな理由からです。私に向かって泳いでくる子ども達に声をかけます。
「よし いいぞ」
「もっと足をとじて」etc.
小学3年生のYくん。
平泳ぎのキックの形がよくなったことで、強く蹴り、速く進むようになってきた時のことです。
すかさず、声をかけました。
「今のキック、良かったよ!」
すると急にこちらを振り返り、「平泳ぎのキックができた」と、大きな声をあげ、喜びを全身で表現したのです。私も思わずガッツポーズで応えました。
子ども達は「できた」ことを満面の笑みや歓声で返してくれます。
「できた」を、子ども達と共有することができた瞬間でした。
この感動があるかぎり、私はこの先、年を重ねても現場から離れられないような気がします。
また、そんな新米コーチの心にも似た気持ちをいつまでも持ち続けたいと思います。