中村社長のコラムー「保護者」から「親」へ … 子育ての評価とは?PART19 ~「こころの成長」は自立の重要な基盤ー

新型コロナウイルスのお陰で?・・・

オリンピックイヤーとなった令和3年度でしたが、夏の興奮が冷めやらぬ間に冬季オリンピック・パラリンピックと、コロナ禍でネガディブになりがちな心をワクワクさせてくれましたね!

夏同様、「歓喜」「涙」等々、各種目に多くの「ドラマ」がありました。このオリンピック・パラリンピックにすべて掛けて挑んた各選手。特に冬の競技は極寒の地で、雪・氷上でのパフォーマンスとあって、殆どが強烈なスピード下で行われる競技。まさに「命がけ」ですね。見ていて高揚する反面「あんな危ない事よくできるな!?」と思いながら…(笑)。だからこそ数々の「感動」があり、前へ向いて進むための多くの「勇気」を貰えましたね!!

 

目次

「自立」の要素は「心の成長」

さて、不登校児だった次男が社会人となったことを節目に書き始めたコラム『保護者から親へ…子育ての評価とは?』。我が子の成長、そして何より自分自身の子育ての『失敗』を基に子育ての目標とも言うべき「自立」をテーマに書き綴っています。これまでもお伝えしてきた通り、私の考える「自立」とは…

「楽しく生きる」という前提で

①自己責任を基本とする行動

②良好な人間関係を築く能力

この2点が基本的な行動スタイルとして身についていることです。そして、このコロナ禍で付け加えるとするならば「問題解決能力」です。

 

結論から言うと、私の考える「自立」のための第一の要素は「心の成長」。身体の成長と共に「心」がスムーズに育っているかであり、最終的に、人間は「心」が順調に育てば、必然的に「自立」するようになっている…と言うのが私の実感です。

そう考えると、すべての人々が「自立」しているはずなのですが、周囲で起こる様々な出来事や社会現象を見る限り「自立」する年齢に達していても「自立」に至っていない人々が多数であるように感じています。

なぜこのような社会となっているのか…我が子の不登校を含むこれまでの成長と、心の成長についての理論=心理的発達段階論をもとに考えてみたいと思います。

 

「こころの成長」合わないことを

その心理的発達段階論とは『やさしいお母さんになれる子育てのヒント(雲母書房)』の著者であり毎月行っている『子育てヒントのお話し会』の講師である樋口邦彦氏から紹介された、アメリカの精神分析学者E・H・エリクソンの「ライフサイクル論」、そして、それを子どもの行動・活動に置き換えた樋口氏独自の理論「遊びの発達段階論」です。

樋口氏から繰り返し指導を受ける中で徐々に現実に置き換えられるようになると、それまで当たり前として行ってきたスイミングプログラム、そして、我が子に求めていたものが心の成長に全く合わないものであることに気づかされたのです。

 

伝統的なスイミングプログラムとは

NAPでも中心的なプログラムであり、全国的にも95%以上のスイミングクラブが実施している子ども対象水泳教室(競泳の4泳法を段階的に身につけるプログラム)は、本来オリンピックの正式種目である競泳の選手育成を頂点に、0.5歳児からの「ベビースイミング」をスタートとして体系的にカリキュラム化されたものです。また、体育指導として挨拶や礼儀、そして指導者の言うことを聞ける子に育てるという大義名分 で厳しく指導することが当たり前でした(勿論NAPでも)。

このシステムでは幼少期から泳法指導を徹底して行うため、幼稚園の段階で4泳法が身についている子は珍しくなく、NAPでも以前のプログラムでは一番早い子で幼稚園の年中(5歳)で現在の学童教室の上級クラス(100m個人メドレーが目標)に進級した子が私の記憶では5名います。幼稚園の年中さんが100m個人メドレーを泳ぐのですからすごいですよね!

 

「英才教育」の結果は・・・?

このようなシステムでいわゆる「英才教育」を行ってきた日本のスイミングクラブですが、その成果はというとジュニア(18歳まで)のレベルでは世界一でありながら、肝心なオリンピックではメダルどころか決勝すら進出できない時期が続いていました。NAPでもその子ども達がその後どうなったか…小学1年生で選手育成コースに移行したのですが、一番長く続けた子が中学校3年、それ以外の子は小学校4年生前後で辞めてしまっていました。

また我が子にも、その子達に続け!と言わんばかりに、早くからプールに入れ鍛えたものでした。それにより、長男は小2、次男は小1、三男に至っては幼稚園年長で競技会デビュー。何度も表彰台に上がりながら、三人とも小学校卒業と同時に辞めてしまいました(涙)。

 

「習い事」は10歳以降のプログラム?

伝統的なスイミングプログラムは競泳4泳法という決められた泳ぎ方・ルールに従って泳げるよう指導し、合否という「評価」を行うシステムです。スポーツの指導を始め「習い事」と呼ばれるものは殆どがこのようなシステムですし、私達(保護者・指導者)が子どもに要求していることはこのような考え方が多数ではないでしょうか?

しかし、このようなシステム・考え方は発達段階的に考えると「社会的評価」「ルール」の意味が本当に理解できる年齢=10歳以降の心の段階なのです。それを幼少期から要求し「やらせる」訳ですから、心を成長させるどころか逆に抑圧し、成果がでないだけでなく不登校(引きこもり)等、将来に向けて様々な問題が発生する要因の一つとなっているのではないかと私は考えています。

 

『大人の視点』を自覚することが重要

これは決して、私達保護者・指導者の要求、そしてスイミングを始め「習い事」が間違っていると申し上げているのではありません。

我が子の不登校を含むこれまでの成長を見てきた経験と心理的発達段階の理論から考えると、注意し意識化しなければならない事は、私達が描いていることは、心の段階で言うなら10歳以降の心レベルの物事が殆どであり、それ以前の子ども達には合致していない可能性があることを私達自身が『自覚』することです。

その『自覚』さえあれば…私達保護者・指導者が子どもの現状を受容し、そのすべての責任を担う心が明確に芽生え、その心があれば幼少期から様々な能力と経験が培える「習い事」は、「学校」と言う場が様々な制約により機能し辛くなっている現状において、子どもの将来のために重要な必要不可欠なものであり、私達の要求も「願い」というスタンスとなり、子ども自身の「生きる力」の基盤になると私は考えています。

この考え方から、NAP子どもプログラムでは心の成長をベースに構成し、まだ完全とは言えませんが、それを自覚し日々子ども達に接しています。

 

 

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