中村社長のコラムー「保護者」から「親」へ・・・子育ての評価とは? PART16~子どもの「自立」とは親(保護者)の真似…その2

~思い起こせば1年前…

コロナウイルスがこの山口にも押し寄せ、感染者が報告される度に大騒ぎとなったことが思い出されます。感染拡大が終息に向かうかと思えば急拡大する…まだまだ気を抜くことはできませんね。

そんな厳しい社会情勢ではありますが、NAP通信もお陰をもちまして、1996年の創刊から25年、今号で90号となりました!これもひとえに皆様のご支援の賜物だと心より感謝申し上げます。また、NAP通信は一部デザイナーに依頼しているものの紙面校正から印刷・製本に至るまですべてスタッフによる手作りです。モニター会員様を始め皆様からのご意見に励まされて続けることができています。この場を借りて重ねて御礼申し上げると共に、これからもご支援のほどよろしくお願いし致します。

 

何をしていようと自分の子だ!

さて、不登校児だった次男が社会人となったことを節目に書き始めたコラム『保護者から親へ…子育ての評価とは?』。昨年からその総括として子育ての目標ともいうべき「自立」をテーマに書き綴っています。

前号では、私の考える自立の要素の一つである「自己責任」の視点から、親として自己責任をテーマに不登校が始まった当時の私の振り返ってお伝えしました。前号の結論として、様々な葛藤の末「何をしていようと自分の子だ!」という感覚に至ったと申し上げたところ、「もっと知りたい」とのモニター様のご意見と、前号ではその考えに至る重要なドキュメントを文字数の関係で割愛したので、今号では再度お伝えしたいと思います。

 

前号の振り返りですが、子育てヒントのお話し会の講師を依頼している子育てアドバイザー樋口邦彦氏(著書 やさしいお母さんになれる子育てのヒント 雲母書房)に親としての意志の弱さ=無責任な姿勢を鋭く指摘されたドキュメントをお伝えしましたが、樋口氏とのもう一つ出来事がありました。

 

周囲に理解を求めようと・・・

次男の不登校が始まった時(小学4年3月)クラス担任から何としても登校させるように言われたこともあり、、当時PTA会長だった私は学級担任を始め校長・教頭にも事情を話し次男の不登校について理解を求めようと考えていました。

学校へ行く前にアドバイスを得ようと樋口氏に相談したところ

「何のために学校へ行くつもりなんだ!」とアドバイスどころか鋭く突っ込まれたのです。

 

自分を護っているだけ?

それに応えるとまた「それは何のためだ!」と一つ返答をする度に繰り返し指摘され、最後には「それは誰のためなんだ!」と。その容赦ない指摘に対して、しどろもどろになりながら、苦し紛れに「不登校をする次男を周囲から護るためです!」と返しました。すると樋口氏は

「違うだろ!なんやかんや言いながら、結局あんたは自分を護ってるだけじゃぁないか!」と声を荒げて言われたのです。

 

この指摘にさすがの私も(?)感情的になり反発しようとしたのですが、全く言葉が見つからず黙ることでその場を終わらせるしかなかったことを記憶しています。まぁ、人間痛いところを突かれるとキレるもので、感情的になったということは樋口氏の言う通り、子どもを護ると言いながら、その時の私は自分の面子(めんつ)しか考えてなかったのです。何より、不登校=引きこもりを無意識の中では否定していたのです。

 

引きこもりは「自分」だ!

しかし、素直に認めることができなかった当時の私は、その後しばらく葛藤が続きました。認めざるを得ない状況なのに、それに抵抗し何とか自分を正当化する理屈を見つけようとしていました。ちょうどその時に東京への2泊3日の出張が入ったのです。この間に何とか答えを見つけようと、樋口氏に薦められた引きこもりに関する書籍、芹沢俊介著「引きこもるという情熱」(雲母書房)、吉本隆明著「ひきこもれ」(大和書房・新装版SB新書)の2冊を鞄に入れて出かけました。

結論から言うと、引きこもりを根底から肯定し「何をしていようと自分の子だ!」と心から思えるようになった切っ掛けがこの2冊の書籍と3日間の出張でした。

この2冊の書籍は、タイトルから伺える通り、引きこもりを肯定する立場の書籍でした。要約すると「大なり小なり人間誰しも引きこもるもので、最終的には引きこもりを本人が肯定し、納得いく引きこもりができれば、何かを得てまた日常に戻って行く。だから引きこもり必要だ」という内容でした。そのような著者の主張に妙に納得してしまった私が思った事は

「今の自分は引きこもりだ!」

その時の私は、先に申し上げた通り、樋口氏の指摘を受け入れきれずに葛藤し、置き所がない精神状態でした。

実はこの出張、わざわざ東京まで出向かなくても電話やメールで解決できなくはないものでした。なのに3日間も時間を作って出向いたのは、お恥ずかしい話、出張に託(かこつ)けた現実逃避・・・言い換えるなら出張と称して引きこもったのです。

なので仕事は初日に早々に済ませ、折角東京に行ったのに!?何処へも行かず、帰りの出発まで宿泊するホテルの部屋で過ごしていました。2冊の書籍を読みながら、樋口氏に指摘されたこと、親になったことも含めそれまでの自分を思い返していると様々な想いが巡ってきました。

 

引きこもることで得られたこと

考えてみれば、社長や会長等と肩書はあるとは言え、学校や水泳の成績も含め人に自慢できるものではない、しくじりの連続で今に至っていること等々、落ち着いて考えていると自分の身の程が見えてきました。そして、無意識のうちにくだらない面子(めんつ)に捉われていた自分がつくづく馬鹿らしく思えてきたのです。

 

自分の身の程を知ると・・・!

このような位置に立つと、次男を始め子ども達には躾や教育等と言って、随分ひどい事をして来たと思うようになり、引きこもりの原因は自分にあると同時に、自分だって引きこもるのだから我が子が引きこもるのも当たり前…と引きこもりや我が子の現状を受け入れるようになりました。

そして、自分自身に目を向け、間違いだらけだったとは言え結局のところ自分の「意志」で親になった(生きてきた)と思うと、親になったからといって立派である訳もなく、親だからと言って立派である必要もない…ただ一人の人間として必死で生きていくしかない…との想いに至りました。

そんな自分を否定することなく受け入れると子どもに対しても「何をしていようと自分の子だ」と思えるようになったのです。

 

このような立場に立つと不思議と「楽」になり、子どもの不登校も含め何を言われても揺らがず、またキレる事なくどんなに批判されようとも動じることはなくなりました。

また、以前山口市内全域に折込まれていた子育て情報誌にコラムを連載していたのですが、そのタイトルも「落ちこぼれパパの子育てろん(論)」。こんなバカなタイトルで自分の子育てを世間に向けて発信するようになったのもこの領域に至ったからです。

良いのやら悪いのやら…

中村 光宏(なかむら みつひろ)
昭和37年生。山口高・福岡大体育学部卒。
平成6年に家業であるNAPを継ぐ。
3人の男の子の父親で、平川小の元PTA会長。最近の趣味はダイエット??

 

 

 

NAP通信もお蔭様で90号!協賛各位を始め皆様に感謝申し上げます。この通信は多くのスタッフが約2ヶ月かけて手作りしています。まだまだ未熟ですが、頑張るスタッフ達に拍手を送ってやって下さい!

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